大塚国際美術館は西洋美術のテーマパーク【期待はずれ?】

徳島県鳴門市の大塚国際美術館は、約1,000点の西洋名画を特殊技術によって陶板で原寸大に再現したユニークな美術館です。

元ネタの作品は世界26カ国190余の美術館に散らばっています。大塚国際美術館はそれらを一堂に鑑賞できる世界で唯一の美術館です。

米津玄師が紅白歌合戦で「檸檬」を歌った場所…と言ったほうが通りが良いかもしれませんね。あの生中継は、大塚国際美術館のエントランスを入ったところにあるシスティーナ礼拝堂(バチカン市国)を実際の大きさで再現したホールでおこなわれました。

今年で設立26年を迎えるこの美術館は、8つの展示室を構え、約29,000㎡(東京ディズニーランドの約半分)という広大な展示面積を誇ります。館内を全部見て回るには、約4kmを徒歩で移動する必要があります。

モナ・リザ、ゴッホのひまわり、フェルメールなど、教科書でおなじみの作品から、あまり知られていない(でも美術史的には重要な)作品まで、幅広い名画をじっくりと堪能することができます。

館内にはレストランやカフェ、ミュージアムショップもあり、一日中楽しめるスポットとして人気を集めています。

大塚国際美術館は期待外れとの声も…?

すでに多くのブログで紹介されていて、そのほとんどで絶賛されている大塚国際美術館。しかし、旅行サイトの口コミだと、そこまで絶賛はされていないというか、むしろ「?」的なコメントも目立ちます。

意見が分かれるのも当然。

大塚国際美術館の絵画は、すべて複製。しかも陶板に印刷という特殊な手法で作成されているため、必ずしも再現度が高いとは言えません(ちなみに、なぜ陶板を使っているかというと、運営主体の大塚製薬が「大塚オーミ陶業」というタイル製造会社を持っているからです。その技術を利用して…という経緯です)。

また、一つ一つの展示室が大きい(大きすぎる)ため、時代区分や美術史的な様式の区分がおおざっぱになっており、フロアは雑然とした印象が否めません(フロアが広くても順路がうまく指定されていればいいのでしょうが、大勢の人が訪れる「観光施設」という特性上、そういう学術的視点を重視したつくりにはなっていません)。

しかしもちろん、素晴らしい点もあります。個人的に大塚国際美術館の素晴らしいと思う点を箇条書きであげると、

  1. 原寸大で見れる
  2. 原寸大で見れる
  3. 原寸大で見れる
  4. 日本では普段あまりなじみのない古代の西洋美術の展示が充実している。
  5. 複製なので顔がくっつくほど近寄っても怒られない。

ということになります。

実物大を体験する

たとえば、超有名なラファエロの「アテネの学堂」。

ルネサンス美術を代表するこの作品は、美術の教科書にもちっちゃい写真が載っていますが、実物は広角レンズを使わないと画角に収まらない大きさです。

ベラスケスの「ラスメニナス」も、実物はこんなに大きいです(実物ではないけど)。

レンブラントの夜景もでかいです。

ピカソのゲルニカや、ポロックの秋のリズムも、この大きさ。

大きさによって絵から受ける印象は全然違いますから、この体験は貴重です。

どんなに近寄ってもOK

「近寄れる」というのも、複製画ならではです。細かいところまで、肉眼で確認できます(どこまで細かく正確に再現されているか…の問題はありますが)。

最大の特徴は環境展示

大塚国際美術館では、システィーナ礼拝堂やスクロヴェーニ礼拝堂の内部がまるまる実物サイズで再現されています。部屋に入ると、壁画と天井画に囲まれて、まるで現地を訪問したかのような疑似体験ができます。

ひとつひとつの絵を精密に見るには平面の画集のほうがよいのでしょうけど、壁画や天井画を当時実際に見ていた人たちと同じ視点で見れるのは、ほかでは得難い体験です。

わたしが東京からはるばる徳島まで出かけたのは、この環境展示を見てみたかったから。今回の徳島・高知旅行の目的の5割は大塚国際美術館で、大塚国際美術館訪問の目的の8割はこの環境展示でした。

祭壇画も、作成当時の状態を推測して復元されています。

かつて人々はこの祭壇画をこうやって見上げて神を感じていたのでしょう。

この「大きさを感じる」「体験できる」というところが、大塚国際美術館のすばらしさだと思います。

観覧の所要時間はどのくらいか

館内は広大で展示作品数も多いので(しかも結構丁寧な説明もついています)、ひとつひとつ見ていけば時間はかかります。しかし、一般的に言って、そこまで一つ一つを丁寧に見ている人はまずいません。ここは美術館というよりは西洋美術のテーマパークであり、観光施設ですから。

相当に本格的な美術ファンでも、ここでは、目についたもの、目を引いたものを眺めて楽しんで、あとはサラッと流して歩く…という人が多いと思います。

参考までにわたしの場合は、午後1時くらいに入館して、3時半頃には現代美術の展示室を残すだけになっていました。
そこからいったん食堂に行ってカレーを食べて、残った時間で現代美術を見たあとは大好きなスクロヴェーニ礼拝堂でぼーと時間を過ごして(この部屋は4時半を過ぎると、ほとんど人が入ってこないので、独り占め状態です)、閉館時刻ちょうどに外に出ました。

実は、もっと時間がかかると想像していたので、もし1日目で見終わらなかったら翌日も大塚国際美術館で過ごす予定だったのですが、1日目(半日)で十分でした。正味の所要時間としては、3時間あれば足りると思います。

(翌日は予定を1日前倒しして高知に移動しました)

途中で渦潮観光を挟むのも可

鳴門といえば渦潮が有名ですね。渦潮をまじかで見るための観光船の乗船場は、大塚国際美術館から徒歩5分程度です(2社あるうちの1社)。

わたしは、

渦潮 → 美術館

という順番で観光しました。渦潮は干満のタイミングで見れる時間が決まっているので、まず渦潮観光の時刻を決めて、その前後に大塚国際美術館を入れるとスケジュールを立てやすいと思います。

大塚国際美術館は、当日に限り再入場OKなので、

美術館 → 渦潮 → 美術館

というプランも可能です。

まとめ

展示作品は複製ですが、「実物大」というのは本当に貴重です。

西洋美術のテーマパークだと思って訪ねると、結構楽しめると思います。