クレジットカード付帯の海外旅行保険は、保障金額は十分ではありませんが、複数のカードを併せ持てば保障額は合算されるので、結果的に得られる保険金は十分なものになります。この記事では、クレジットカード付帯の海外旅行保険について、いくつかのトピックを採りあげて考えてみます。
クレジットカード付帯の海外旅行保険
クレジットカードの海外旅行保険には2つのタイプがある
クレジットカードの海外旅行保険には、自動付保と利用付保の2種類があります。
利用付保:クレジットカードで海外旅行の交通費を払うと、海外旅行保険が適用になる
自動付保:クレジットカードを持っていれば、自動的に海外旅行保険が適用される。事前の手続は不要。
もちろん自動付保の方が便利です。年会費が必要なカード、とくにゴールドカードは自動付保が多いです。いっぽう、年会費無料のカードでは、利用付保が一般的です。
利用付保の「利用」とは具体的にどういうことか
利用付保のクレジットカードの場合は、日本を出国する前に、海外旅行の交通費(一部でもOK)をクレジットカードで決済することが保険適用の条件です。具体的には以下のいずれかをクレジットカードで支払うことが要求されています。
1.海外旅行ツアー料金
2.航空券や海外での移動に要する交通費
3.空港までの交通費
このうち1や2は分かりやすいと思います。例をあげると、
(1)旅行代理店で海外旅行ツアー代金を支払う
(2)インターネットで航空券を購入する。あるいは、海外の鉄道のチケットをインターネットで日本から予約購入する。
などです。
3の説明
3については事情が複雑なので詳しく説明します。
「空港までの交通費」とは、自宅から日本国内の空港までの移動費用です。この交通費を一部でもクレジットカードで払えば保険が適用されます。
しかし、ここで問題になるのは、クレジットカード払いができない交通機関があること。たとえば東京の場合は以下のようになっています。
(主要交通機関のクレジット払いの可否)
交通機関 | カード | 備 考 |
JR | ○ | みどりの窓口(または指定席・特急用券売機)で購入できる。140円の普通乗車券でも可。 |
私鉄 | ○× | 京成スカイライナーはクレジットカード使用可。その他の普通、特急は不可。京急も使用不可。 |
東京モノレール | × | |
タクシー | ○× | 会社による |
リムジンバス | ○× | T-CAT・新宿駅西口・YCAT、および空港のリムジンバス・カウンターでのみクレジットカード使用可。その他の乗り場やバス車内では使用不可。 |
上図の補足説明です。
- JR
JRは、「みどりの窓口」または「指定席用自動販売機」でクレジットカードが使えます。成田エクスプレスはもちろん、140円の普通乗車券でもクレジットカードで購入できます。指定席用券売機でも、普通乗車券の購入が可能です(JR公式サイト「指定席券売機でできること」)。 - 私鉄
私鉄の切符は、クレジットカードでは買えません。ただし、「スカイライナー・スカイアクセス」のチケットは京成電鉄の駅でクレジットカードで買えます(京成電鉄「チケット購入のご案内」)。
なお、スカイライナー以外の京成電鉄で成田空港に向かう場合は、たとえば日暮里までのJRの料金をクレジットカードで購入すれば、保険が適用になります。
また、京浜急行で羽田空港に行く場合でも、たとえば品川までのJR乗車券をクレジットカードで購入すれば、その時点で保険が適用になります。 - 東京モノレール
東京モノレール(浜松町・羽田空港)の切符はクレジットカードで買えません(東京モノレール公式サイト)。なお、JRの「みどりの窓口」で、JRと東京モノレールの連絡切符を買えますが、わざわざ連絡切符を購入しなくても、浜松町までのJRの切符をクレジットカードで購入すれば保険適用になります。 - タクシーについて
空港に向かうためにタクシーを利用した場合、タクシー運賃をクレジットカードで支払えば保険適用の条件を満たせます。クレジットカードを使えるか否かは会社によります。 - リムジンバス
リムジンバスは、下記のリムジンバスカウンターでのみクレジットカード使用可能です(エアポートリムジン「クレジットカードのご利用について」)。- 東京シティエアターミナル(東京メトロ水天宮駅)
- 横浜シティエアターミナル(横浜駅)
- 新宿駅西口23番のりば前(京王百貨店前)
- 成田空港
- 羽田空港
その他の場所(ホテル内のチケット売り場など)では現金のみです。バス車内での支払いにもクレジットカードは使えません。リムジンバスカウンターの営業時間は各のりばのリンク先を参照してください。
SUICA、PASMOで乗車した場合
SUICAやPASMOなどの公共交通ICカードにクレジットカードでチャージして乗車する場合、保険会社によっては証拠書類(その交通カードで乗車したという証明書類)を提出すれば付保条件として認めてくれるとの情報もありますが、保険金が出る出ないで後にトラブルになっても困るので、普通に切符を買って乗車することを強くお勧めします。切符を買って乗車すれば、カード会社の使用履歴に明確な証拠が残るからです。
自動付保のカードの方が便利です
利用付保のクレジットカードは、このように手続きが面倒です。また、複数のクレジットカードの保障を合算したい場合には、利用付保のカードだけでは使えるクレジットカードの枚数が限られてしまいます。この点、自動付保のクレジットカードなら、持っているカード全部の保障金額が自動的に合算されるので、容易に多額の保障が得られます。
次項では、年会費無料なのに海外旅行保険が自動付保される便利なカードを紹介します。
年会費無料で自動付帯のクレジットカード
年会費が無料なのに海外旅行保険が自動付保されるクレジットカードがあります。自動付保なので、面倒なことを考える必要はありません。忘れていても、自動的に保険が適用になっています。
ここで紹介する自動付帯の2枚(JCBエイトカード、せディナカード)を併せ持つと、下表の金額の保障が得られます。ほかに手持ちのカードがある場合は、そのカードの保障金額もこれに合算されます。
自動付帯の保障額合計(2カード合算)
種類 | 金額 |
傷害死亡・後遺障害 | 2000万円 |
傷害治療費用 | 200万円 |
疾病治療費用 | 200万円 |
賠償責任 | 3000万円 |
携行品損害 | 30万円 |
救援者費用 | 200万円 |
ショッピング保険 | 150万円 |
この2枚のカードは自動付帯なので、交通費の支払いに使わなくても保険が適用されます。交通費の支払いを他の利用付帯のクレジットカードですれば、そのカードの保障金額もこれにプラスされます。
複数のカードを持っている場合、治療費や救援者費用などは全部のカードの保障額が合算されます。
「死亡・後遺障害」の保障だけは例外で、最高額のカードの上限が適用されます(この例ではJCBエイトカードの2000万円が上限になります)。このため、上表の金額になります。
以下、それぞれのカードについて説明します。
JCB EIT(ジェーシービー エイト)年会費永久無料
JCBエイトカードは、JCBが発行する年会費無料のカードです。カードのデザインは6種類から選べます。
年会費無料にもかかわらず、死亡・後遺障害の上限が2000万円と大きいのが特徴です。
保障内容 | 金額 |
傷害死亡・後遺障害 | 2000万円 |
傷害治療費用 | 100万円 |
疾病治療費用 | 100万円 |
賠償責任 | 2000万円 |
携行品損害 | 20万円 |
救援者費用 | 100万円 |
ショッピング保険 | 100万円 |
ハローキティーカード(初年度年会費無料)
ハローキティーカードは、せディナが発行するハローキティーのキャラクターカードです。初年度年会費無料。2年目以降は年額1000円になりますが、三井住友銀行を引き落とし銀行にすると銀行キャッシュカードのATM手数料が無料になるので、三井住友銀行のユーザーなら年間を通してもとは取れると思います。
保障内容が各項目バランスがとれているので、全般的に保障金額を上乗せしたい場合に役立つカードです。
保障内容 | 金額 |
傷害死亡・後遺障害 | 1000万円 |
傷害治療費用 | 100万円 |
疾病治療費用 | 100万円 |
賠償責任 | 1000万円 |
携行品損害 | 10万円 |
救援者費用 | 100万円 |
ショッピング保険 | 50万円 |